「年を取って身体が曲がってきた。」なぜ側湾症になるのですか?

側湾症のイラスト「側湾症」「正常」2種類のイラストです。

【高齢者、なぜ側湾症になるの?】

1. 加齢による変性(変性側弯症)

これは高齢者に最も多いタイプの側弯症で、「成人脊柱変性側弯症(変性側弯症)」と呼ばれます。
🔴原因
・加齢によって椎間板椎体関節(椎間関節)がすり減る
・椎間板が片側だけ潰れると、背骨が左右どちらかに傾く
・背骨を支える筋肉や靱帯の弱化も関係
🟢特徴
・腰の曲がり、姿勢の左右非対称
・腰痛、脚のしびれ(神経の圧迫が原因)

2. 骨粗鬆症による圧迫骨折

高齢者(特に女性が多いです。)
骨密度の低下により、椎体が潰れて背骨のバランスが崩れ、側弯症を引き起こすことがあります。
🟢特徴
・急に曲がりが強くなる
・腰痛が急に悪化することもある

3. もともとあった側弯症が進行(思春期突発性側弯症の進行)

若い頃に軽度の側弯症があり、それが高齢になってから進行することもあります。

4. 筋力低下・姿勢の崩れ

・体幹筋(特に腹筋・背筋)の弱化
・長年の不良姿勢によって、徐々に骨格が崩れてくる
・介護が必要になる高齢者では、座位姿勢の歪みが固定化されて側弯になることも

【高齢者、側湾症の症状は?】

側湾症。「肩」「骨盤」の高さが違うイラストです。

1. 見た目・姿勢の変化

・体が左右どちらかに傾く(横からではなく、正面・後ろから見て曲がっている)
肩の高さが違う
・腰の高さ、ウエストラインの左右差
・骨盤の傾き(歩くと片足が短く見える)

2. 痛み(腰痛・背部痛)

慢性的な腰痛が多い
・背中の左右どちらかが張って重だるい
・立ちっぱなし・座りっぱなしで痛みが増す

✅ 3. 下肢のしびれ・痛み

変性側弯症は、椎間板のすり減りや椎体の変形によって神経を圧迫しやすい。
お尻・太もも・ふくらはぎのしびれ
・坐骨神経痛に似た症状
・歩くと脚が痛くなり、休むと軽くなる(間欠性跛行)

4. バランスの悪化・転倒しやすい

・重心が左右どちらかに偏っている
・片側に体を預ける姿勢になりやすく、ふらつき・転倒リスクが上昇
・杖や手すりが必要になることも

5. 呼吸の浅さ・内臓圧迫(重度)

・胸郭の歪みが強いと、肺の圧迫による息苦しさが出ることもある
・消化器への圧迫で、食後の胃もたれ、便秘などの訴えが増える

【筋力低下】姿勢保持が困難になり、側弯が進行
【椎間板変性】クッションが減って背骨が傾きやすくなる
【骨粗鬆症】圧迫骨折で背骨が変形し、片側に崩れる
【神経圧迫】狭窄やヘルニアにより、脚のしびれが出現

【高齢者、側湾症どうすればいいの?】

高齢者の側湾症(成人脊柱側弯症)は、加齢に伴って発症・進行することが多いのです。
腰痛・神経症状・姿勢の悪化・歩行困難などの原因となります。
対応の方針は、症状の程度・日常生活への影響・全身状態によって変わります。

側湾症のイラストです。
「辛い側湾症。改善する主義がある」と書かれています。

高齢者の側湾症の基本対応(保存療法中心)

👉痛み・機能改善の整体施術

筋・筋膜リリース:特に脊柱起立筋・腰方形筋・多裂筋などの緊張を緩める。
骨盤・胸椎のモビリゼーション:可動性を改善して体幹バランスを整える。
側湾に対する対称性アプローチ:湾曲の凸側と凹側でアプローチを分ける。

👉運動療法(自宅でできる体操の指導)

体幹安定化トレーニング(腹横筋・多裂筋)
呼吸法(胸郭拡張)
姿勢保持筋の強化(殿筋・脊柱起立筋)
・壁立ち姿勢やキャットアンドカウなどが有効。

👉日常生活指導

・長時間の立位・座位を避ける
・負担を減らす姿勢(椅子の座り方、寝具)
・補助具(杖・コルセット)の検討

 📍安静時にも強い痛みがある
 📍排尿・排便に支障が出ている(馬尾症候群の可能性)
 📍急激に姿勢が崩れてきた
 📍下肢の脱力や歩行障害が進んでいる

側湾症のイラストです。
側湾症とは?と書かれています。